3spice POD出版 ライブラリー

タイトル パリの秋
作者 菅 佳夫
発売日 2018年6月20日
価格 定価:本体1,485円(税込)

内容紹介

長い夏休みが終わって9月になると新学年が始まります。その為8月も末になれば、スーパーやデパートが文房具や鞄など学用品を豊富に取り揃えて大売出し、雑誌にもジュニア向けの洋服や靴、眼鏡からヘヤ―スタイルまで、お洒落な品を紹介しています。夏休みのダイヤで動いていたメトロやバスも普通に運行されるようになって、1ヶ月はヴァカンスを取っていたサラリーマンも、仕方なさそうに通勤する姿が目立ち、何となく街が賑わってきます。空を見上げますと、雲の流れがいつの間にか東から西の方へ向かっているのに気付き、風の中に冷たさを感じ、夏には真上にあった太陽が少しづつ傾いて、部屋の奥迄陽光が射す様になりますが、その陽光も黄色味を帯びて弱くなり、日の出は遅く、日の入りは早く、次第に日が短くなるのを感じます。秋です。9月23日は祭日扱いではありませんが「秋分の日」、これから木々の葉が黄色に、そして茶色に変って、緑一色だった夏の景色が秋へ色付いてきます。「枯葉」のシーズンです。プレヴェールの詩で知られ、イヴ・モンタンが唄った「枯葉」、“枯葉よー 音もなく―”と訳されていますから、小さな枯葉が、まるで雪が降るかのように舞い落ちる風景を想像すると思いますが、とんでもない、マロニエやプラタナスの大きな葉がバサバサと音を立てて落ちてくるのです。その落ち葉をガサガサと蹴り歩くと、乾いた音と共に何か懐かしい匂いを感じます。当地には台風こそありませんが、ラファルと呼ばれる突風が、時には大雨を伴って大暴れすることがあり、又 100メートル先も見えない濃霧も落葉を急がせ、枯葉の舞いを演出しています。やがてマロニエから落ちるマロンの実が枯葉の中に転がり、最初に見つけたマロンを拾ってポケットに入れておくと幸せが来る、と云われています。枯葉に黄葉はあっても紅葉はめったにありません。中でもきれいなのがイチョウで、ひと頃はモンソー公園に1本、ダンフェールのカタコンブの上の公園に1本、ブローニュの森の中之島に渡る所に1本あると聞いて、秋になるとわざわざ見に出掛けたものでした。ところが最近になって「日本では家族繁栄と長寿のシンボル」それに「公害に強い」との理由から並木をイチョウに替える所も増えてきました。朝市を覗くと“実りの秋”を感じます。湿った土の香りを運んで色々なキノコが山と積まれ、林檎、梨、ブドウ、栗、、、、秋の味覚が色とりどりに並べられ、豊かで綺麗です。街角の薬局に茸の種類を描いたポスターが貼られているのを見掛けますが、それは茸狩りに出掛けた人達が採ってきた茸が、食べられるのか毒なのかを調べてくれる、ということを意味しています。秋はワインの為のブドウの狩り入れも大切な行事、パリでもモンマルトルの丘に残るブドウ畑で収穫祭が行われ、毎年850本程のワインが販売され、売り上げは市内の公共施設に寄付されています。11月第3木曜日の“ボージョレ・ヌ―ヴォー”解禁日は、パリの殆どの酒屋、カフェ、レストランが、ボージョレばかりでなく、それぞれに選んだ各地の新酒を飲ませてくれ、時には音楽も入って、賑やかな楽しい祭りです。10月最後の日曜日から“冬時間”。建物に暖房も入り、アルプスやピレネーの山岳地帯に降雪の報、11月1日の「万聖節」の祝日を中心に学校も2週間の休暇、日本の“お盆”の様な祭事で、家族揃って里帰り、お墓参りに菊の花を供える習慣から、花屋の店先に秋の深まりを感じます。

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