3spice POD出版 ライブラリー

タイトル パリの夏
作者 菅 佳夫
発売日 2018年6月20日
価格 定価:本体1,606円(税込)

内容紹介

次々に色々な花が咲いて、正に華やかな“花のパリ”であった春も、6月の声を聞くと、「目に青葉」、若葉と針葉樹との緑の濃淡が織りなす景色が美しい季節となり、時には夏らしい暑さすら感じられます。日の出前から日が沈むまで、高い所に止まってメルル(クロツグミ)が鋭く綺麗な声で気持ちよさそうに唄い出すのもこの頃です。夏の花と云えば、紅いゼラニュームが窓辺を飾り、庭先には色とりどりのバラの花、十字路の花壇にラベンダーが咲いて香ります。秋が近づけば紫陽花が、土の違いかピンク色が多く、白い花も見かけます。日本に比べて北に位置するフランスですから、6月22日「夏至」を迎えて、日の出は早く05時47分、日の入りは21時57分と遅く、太陽は高く真上を通る様になり、日が長くなったことを感じます。日本が梅雨に入る頃には、晴天が続いて次第に気温が上がり、雨が無く渇水状態が続き、時には日中の気温が35℃を超える“酷暑”がやってくることもあります。これを“カニキュル”(la canicule)と呼びますが、特に小さな子供や高齢の人達に水を飲むように注意報が流れます。しかし空気が乾燥しているからでしょうか、木陰は涼しく、大気に漂う菩提樹の花のほのかな香りにホッとひと息、カフェ・テラスで冷たいシャンペンやビールでくつろげば、日本の夏のような“猛暑”は感じられません。学校は夏休み(ヴァカンス)を前に各種の試験が行われる時期、特に国家試験として大学入学資格試験(バカロレア、通称“バック”)が全国一斉に行われます。日本の高校3年生に該当するリセの最終学年生がこの試験を受けますが、70歳を過ぎた人や13歳の中学生でも受験出来るようです。自分が目指す高等専門学校や大学の学部学科により文科系、理数系など幾つかのコースがあり、いずれも論文形式で行われます。試験も大変ですが、合格すれば、自分が希望する学校・学部へ入学願書を揃えて受付に並ぶのが又一苦労の様です。しかし、学校側が受け容れる人数に限りがありますので、合格者の人数との差が毎年大きな問題となります。夏休みになりますと、7月1日と8月1日前後は一斉にヴァカンスに出掛ける人達で列車も飛行機も、そして道路も大いに混み合い大騒動、少し日をずらせばよいのにと思う程です。7月31日と8月31日前後も同様に、今度は都会へ戻って来る人達でまたまた大騒動が起こります。しかし“ヴァカンス”とは云え、皆が避暑地や行楽地へ遊びに出掛けるのではなく、大半は故郷への里帰りなのです。都会ではこの期間は住人が大きく減り、皆が休む時期ですので、労働組合もお休み、デモやストライキも無く、交通機関もスムースに、美術館も開いていますから、普段とは雰囲気の異なる“夏休みのパリ”を気ままに歩いてみるのも良いものです。「夏休みを共に楽しく」とのパリ市の配慮で、セーヌ河岸は砂を敷き詰め、ヤシの木を置き、デッキチェアーを並べ、シャワーも備え、水に入って泳げないだけで“パリ・プラージュ”、正に海浜の気分になれます。店頭には南仏産の香りが良く甘い苺“ガリゲット”、桜ん坊“ビガロ”、カバイヨンのメロン、濃い緑の“アルティショー”、、、が並んでいます。

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